もしかして大人の人と、トラブルを抱えている可能性だってある。
SOSのサインなのかもしれない。
東野さんはじっと私を見つめて黙っていた。
不安がどんどん大きくなる。
どうしよう、まだかけ出しの教師である私に対応できる話なんだろうか?
いや、これはきちんと話を聞いて。
ベテランの先生方にも相談して。
頭の中でモヤモヤ考えていたら。
「大人の……、成人した、従姉妹のお姉ちゃんがいるんですけど」
東野さんが話し始めた。
私は覚悟を決めて、生唾を飲む。
「彼氏の様子がおかしいんだって。浮気の気配っていうんですか?それがあるって」
……ん?
「なんで他の人に目移りしちゃうんだろう?意味わかんない」
心底不思議そうに話す東野さんの様子からして、彼女自身がトラブルに巻き込まれているわけではないと分かった。
「従姉妹のお姉さん……」
緊張感から解き放たれた私は、うっすら浮かんでいる額の汗を拭った。