私の言葉に、真は少し固まった。


それから、
「おめでとう……」
と呟いた。



「ありがとう……」
私も呟くように返事する。





「え、おめでたい話なんだよね?」
私の様子に、真は困惑している様子だった。


「そうね、おめでたい話なんだけど」


「『けど』って?」



「あんたさ、覚えてる?私の親友だった、清香ちゃん」


私は真を見つめた。


我が家ではもう、ほとんど口にしなくなった名前。

だけど、私は分かっている。


真が清香ちゃんを忘れることなんか、絶対に無いことを。



「覚えてる。亡くなったお姉ちゃんの親友の、清香ちゃん」



真っ直ぐに私を見た真は、つらそうな顔をした。



「忘れるわけない。私とお姉ちゃんに『シー・ファンキーズ』を教えてくれた、優大の存在を教えてくれた恩人なんだよ」




私は真の返事に、大きく頷いた。





そう。

その通り。




清香ちゃんは私達の恩人で。

私の親友で。


優大に手紙を遺して自殺してしまった、「シー・ファンキーズ」のファンの女の子。