苺にはもうなれない


「……あるには、あったの」
よく分からない日本語で返す。


「聞こうか?」

「……お風呂から上がったら、あんたの部屋に行くわ」

「分かった。待ってる」




私はリビングを出て、お風呂場に向かった。










真とは歳が4つ離れている。

現在、大学生。



昔はかなり年下だと思っていたけれど、いつの間にか年齢差を感じなくなり、今では私にとって1番の話し相手だ。



お風呂から上がり、まっすぐ真の部屋に向かった。



「来たね」


私を見て、真は言った。



無言で頷き、真の部屋のドレッサーの前に座る。


「貸して」
と言って、真の返事より先に化粧水と乳液の瓶を手に取る。




「何があったの?」



この前、真が「高かった」と話していた美容液も見つけて、それを顔に浸透させながら私は真を振り返る。



「プロポーズされた」