「お姉ちゃん、今度さー、一緒にライブに行かない?」


「え?誰の?」



妹は私の知らないグループの名前を言った。




「誰よ、それ」



「は?知らないとかあり得ないし!」
と言った真は、テレビを指差した。

音楽番組が流れていて、誰か知らない人達が歌っている。

よく見てみると画面右上に、真がさっき言ったグループ名が書いてある。



「いやー、あんまり聴いてなくて。音楽」


思わず口走ってしまった言葉に、真は固まった。




「……ごめん」
気まずい空気の中、真が謝った。

「いやいや、私こそ。ごめん」


「ねぇ、そしたらさ、尚更だよ!行こう?ライブ!久しぶりに楽しもうよ」

「若い子ばっかりじゃない?私、浮きそうじゃない?」


真は大袈裟にしかめっ面をしてみせて、
「お姉ちゃんも十分若いじゃん!!何言ってんだか!」
と言った。


……良い子だ。



心からの感謝をこめて、真をぎゅっと抱きしめた。



「何、なに!?」

驚く真に、私は無言のまま腕の力を強めた。




「何かあったの?」