部屋に置いたままの学習机に視線を向ける。


机の上には写真がある。


……正確には写真を伏せて、置いてある。






「この時が来たんだ……」

ベッドから体を起こし、伏せている写真を手に取る。





そこに写っているのは高校生の頃の私と、親友の清香ちゃんだ。



学校の屋上にこっそり侵入した時の写真で、私達の後ろにはすっきりと晴れ渡った青空が見える。



清香ちゃんはニッコリ笑って、Vサインしている。



「……ごめんね、清香ちゃん」




私だけ。





私だけ、ここにいて。








お風呂に入ろうと思って。

1階に下りて行った。



「お姉ちゃん、ちょっとぉ〜」
リビングから妹の(まこと)の声。


「何?」
真のそばまで行くと、テレビをつけたまま振り返った真は、嬉しそうに私に言った。