「ただいま」



「司、あんた晩ごはんは?」


「あー、食べた。ありがとう」


「そう。弘正さん、元気だった?」


母をじっと見つめて、考えていた。




プロポーズされたよ。





そう言ったら、この人は大騒ぎするに違いない。


……まだ、内緒にしておこう。




「うん、元気だった。晩ごはんもモリモリ食べてたし」



そう言いながら、私は片手をヒラヒラさせて階段の続きを上がる。








25歳。

まさか、この年齢で結婚できるとは思ってもみなかった。




自室に入り、深緑色のワンピースを脱ぐ。

今日のデート用にと、先週買っておいたワンピース。


まさかプロポーズされるとは思っていなかったけれど。





適当なTシャツと、楽な短パンに着替える。



ベッドに倒れこみ、
「はぁーっ!」
と、大袈裟に息を吐く。