「日向……」



「大丈夫です。きっと誰かの一等星になります」



「……うん」


湿った声で、返事をした。
「ありがとう、日向」














バイトを休むと日向は言ってくれたけど、私は「大丈夫」と言い張って、日向を先に帰した。




「黒猫」の店内に、静かに流れる音楽。

クラシックかな?


キレイな音楽。



「ただいま戻りました」

お店にエプロン姿の女性が入ってきた。



……あっ。
この人、鈴井くんと来た時に接客してくれた店員さんだ。



深雪(みゆき)ちゃん、遅かったじゃない」

店長っぽい雰囲気のする男性が、深雪と呼ばれた女性に声をかける。


「すみません、おつかいの途中で道に迷ったおばあさんに会って……」


「えー、またぁ?それで案内してたの?」


「はい、連絡しようと思ったら、スマートフォンを店に忘れてきてて」



マンガの中の人みたいだなって思った。