目に涙が溜まってしまった。
瞬きしたら、流れてしまいそう。
「私、愛してほしいってばっかりで、愛してなかったんだと思う」
「……」
「誰のことも、好きじゃなかったんだよ。最低だよね、本当に」
その証拠に。
初めて付き合った彼のことも。
短い付き合いだった彼のことも。
運命だと思った鈴井くんのことでさえ。
好きなところを聞かれたら、きっと答えられない。
「透子さんは、きっと好きだったと思います」
「え?」
日向は遠慮がちに言った。
「今は頭の中がこんがらがって分からないだけで。付き合っていた時は、一生懸命の好きな気持ちを持っていたと思います」
「……」
「透子さんは、最低なんかじゃない」



