苺にはもうなれない



週末。

優大くんの部屋。


リビングのソファーにもたれて、床に座っている優大くんの足の間で、三角座りで座っている私。

後ろから抱きしめられているような体勢に、リラックスしつつ、ドキドキもしている。



「指輪、つけないんですか?」
私の左手薬指にそっと触れた優大くんが聞いてくる。


実はサイズがピッタリになった婚約指輪を大事にしまっていて、挨拶に行く時以外の日常ではつけていない。


「ちょっと今は我慢です」

「なんで?」


「だって……、幸せ過ぎて。ちょっと怖くて」
心が浮かれてしまうので、何か特別に嬉しいことを我慢している。


「指輪、つけてほしいなぁ」
優大くんが珍しく拗ねた。
「もう深雪さんはオレのなのに」


そう言って、優大くんは私のお腹あたりで両手を組んだ。


私は耳まで真っ赤になる。