苺にはもうなれない

「あ、聴いてます!最高です!しかも、もうすぐしたらまた新しい曲をリリースするらしくて、楽しみです!!」



日向の反応に嬉しくなって、私はペラペラと新曲についての感想を話した。



うんうん、と日向も笑顔で聞いてくれる。





心地良い時間だ、と思った。




推しこそ違えど、同じ「シー・ファン」。


分かち合える。



優大の魅力も。


周くんの魅力も。



語り尽くせる。





「でも、日向ってずいぶん前から好きなんだね?『シー・ファンキーズ』のこと。そのマスコット、初期のグッズでしょ?」


私は日向の鞄に付いているマスコットを指差す。


「あ、ママ……、母が、最初に教えてくれて」


「え?お母さんが?」


「母の友達が『シー・ファンキーズ』のデビュー当時に熱烈なファンで。でも熱しやすく冷めやすいタイプらしくて」


あぁ、いるね。
そういう人。


私の友達にも何人か思い当たる人がいる。



「この鞄に付けているマスコットも、その人から貰って。宝物なんです」



「へぇー、良い人だね。多分、そのマスコットって今ではすごい価値があるのにね」