苺にはもうなれない

「……丁寧だよね、日向って」


心から感心して、ついつい口から出た言葉だった。



メイクしたら絶対に見栄えするキレイな顔立ちなのに、日向はメイクをほとんどしていない。

多分、薄くファンデーションくらいは塗っているだろうけれど。


ピアスホールもないし、髪の毛だって染めてない。


洋服だって、ざっくりした青いニットに、黒い細めのパンツを穿いているだけ。


長いサラサラの髪の毛を見る限り、美容に興味がないとは思えないけれど。




「丁寧、ですか?」

キョトンとした日向を見て、そうだった、と思い出した。


日向はいつだって自然なんだ。

こうすれば良く見られるとか、考えていない。


そんな計算をするような子じゃない。



だから、私は好きだった。




そして、憧れている。





私が日向みたいだったら。