説明を聞いたおじいさんとおばあさんは、
「ありがとうございます。行ってみます」
と、頭を下げて歩いて行った。
……ご夫婦かな。
並んで歩いて行くふたりを見て、いいなぁって思った。
ただ隣を歩いて、少しの会話をして。
仲が良いのか、そうでもないのか、私には分からない距離感だけど。
確実にふたりの時間が、そこに流れているように見える。
一緒に生きてきた、という感じ。
……優大くんと、一緒にいたい。
一緒に生きていきたい。
同じことで笑って、泣いて。
私の毎日の中に、優大くんがずっと居てくれたなら……。
優大くんは、そんな日々を望んでくれている。
それだけで。
もう、充分じゃない。
……優大くんはこれからもステージの上に立つ。
その場所を、私が奪ってはいけない。