苺にはもうなれない


私は照れくさくなって、日向の体から離れようとした。

でも日向は更に力強く私を抱きしめて、
「心配だったんだから!」
と怒ったように言った。



「……うん、ごめんね」
私が素直に謝ると、日向は腕の力を緩めた。


それから少し体を離して、
「ごはん、食べてますか?」
と聞いてきた。


「食べてるよ〜」
微妙に嘘をついた。


食べては、いる。

だけどちゃんと調理したものじゃない。


そこらへんにあるお菓子や、栄養補助食品を適当に食べているだけで。



多分、日向の言う「ごはん」にはカウントされない物かもしれない。




「ま、部屋に入って。久しぶりじゃない?日向がここに来るの!」

私はごまかすように、日向を招き入れた。




「お邪魔します……」


日向は玄関で脱いだ靴を、わざわざ揃え直した。