「何のお礼……?」
優大くんの顔は見えないけれど、きっと笑顔になってくれている。
「いつも、私だけドキドキしていると思ってました」
優大くんはいつも余裕があるように思っていた。
でも。
こんなふうに赤くなってくれたり。
ドキドキしてもらえて。
あぁ、私でもいいのかなって。
好きでいてもらえて良かったなって。
心から思える。
「……もっとドキドキしてください」
「え?」
優大くんが私をぎゅうっと抱きしめて。
いつもよりほんの少し長いキスをした。
お互いの心臓の音が重なる。
ドキドキドキドキ…。
まるで音楽みたい。
「深雪さん……、好き」
キスとキスの間。
優大くんが囁くようにくれる言葉。
「好き……、大好き……」
私も、と言おうとした時。



