優大くんは頭を下げて、
「その心地良さに甘えてた、ごめんなさい」
と言った。


私は寂しさでいっぱいの気持ちだったのに、「心地良い」と言われたことが嬉しくて。


心の中はすっかり喜びに満ちていた。


「私は……」

それでも話してほしかった、と言いかけて、あることに気づいた。



!!






「どうしましたか?」
優大くんが不安そうにしている。


「あの、私……、あの、芸能人とか本当に疎くて。もしかして私じゃない人だったら、気づいていたと思います。気づかなくって、本当にごめんなさい。優大くんは、有名人なので!自信を持ってください」


「えっ……」



「認知度は、絶対あります!私が知らなかっただけです!」

私は必死になってフォローした。



そんな私を優大くんは、
「別に傷ついてませんよ」
と言って笑ってから、
「仲直りしてもいいですか?」
と、優しく腕の中に引き寄せた。


「あの、優大くんが言ってた『出張』って……?」
ふと気になって聞いてみた。

優大くんは小さな声で、
「全国ライブです」
と言った。


「……なるほど。『出張』ですね」
そう言うと、
「納得してくれるんですか」
と、優大くんは可笑しそうに笑った。






優しく抱きしめられながら思った。


優大くんは、優大くんだ。

どんなお仕事をしていようが、今ここにいる優大くんは、優大くんでしかない。


この人を、めいいっぱい笑顔にしたい。


もっともっと好きになりたい。