苺にはもうなれない


会いたい。

私も。


でも恥ずかしくて、そんな本音は送れない。


すると優大くんからまたメッセージが。

『会いに行ってもいいですか?』


えっ!?



うそっ!



今から!?




私が戸惑っていると。


……ピンポーン。



インターホンが鳴った。




えっ!?

まさか、優大くん!?



玄関ドアをそっと開ける。


そこには、キャップを被った優大くんが立っていた。



「えっ、あの、こんばんは……」

「……こんばんは。こんな時間にごめんなさい、突然」

私はドアを大きく開いて、
「どうぞ、入ってください」
と言った。



心臓がドキドキしている。

優大くんが私の部屋の前に来るのは、実はこれで2度目。

1度目は何回目かのデートのあと、部屋の前まで送ってもらった。
でもその時は部屋には上がらずに、優大くんは帰って行った。


だから今日、初めて部屋の中に優大くんを招き入れる。

「お邪魔します」
優大くんが部屋に入った。


靴を脱いで、きちんと揃えてくれる。


……丁寧だなぁ。


その自然な動作にうっとりしてしまう。


部屋を上がってすぐに見えるチェスト。

その上にはお母さんとおばあちゃんの写真を並べて置いてある。

優大くんはそれを見つけて、何も言わずに両手を合わせてくれた。


そういうところ、好きだなぁと思う。



ふと、玄関スペースに置いてある鏡にうつる自分が目に入った。




……ハッ!!


私!!

今!!

お風呂上がりでメイクしてない!!