「うろたえてるね。でもオレには分かってる!クリスマスあたりから深雪ちゃん、可愛くなったし、ちょっとオシャレしてるもん」

田谷さんはそう言ってニヤニヤした。



「やだなぁ、田谷さん」
薫おじさんが洗ったコップを拭きつつ、
「うちの従業員、いじめないでくださいよー」
と、笑顔を見せた。


「薫おじさん……!神!」


「でも、本当に来ないけど、どうしてるの?武岡さん」
薫おじさんが真顔で尋ねてくる。


いやいや、あなたも結局は聞くんですか!



私はちょっと頬が赤くなることを感じながら、
「し、仕事で忙しいらしいです。……その、出張?が多い期間らしくて」
と、説明した。


「出張?そんなに多いものなの?」
田谷さんが残念そうだ。


「よく知らないですから、私も」

「知らないって?武岡さん、何のお仕事してるの?」
田谷さんは不思議そうだ。


「あの、お仕事の内容を、知りません」


「!?そんなことって、あるの!?」
田谷さんの目が大きく見開く。