苺にはもうなれない



そして迎えた翌日のお昼過ぎ。


薫おじさん夫婦と待ち合わせたショッピングモールの入り口。


「やだー、深雪ちゃん!!久しぶりじゃないー?」

薫おじさんの奥さんである冴子(さえこ)さんは、私を見つけるなり両手で手を振り、大声を出して近寄ってきてくれた。


「お久しぶりです、冴子さん」
私は頭を下げる。

「デートするんだって?」
冴子さんがニヤニヤしている。


「えっ、いや、ただ、オシャレして出かけたいんです」
私は慌てて訂正した。

だって私がデートのように感じているだけで、武岡さんは「デートしよう」とは言ってない。



クリスマスを「ご一緒しませんか?」と言われただけだ。




「もー!恥ずかしがって!!深雪ちゃんはもういい大人なんだから!!それくらいで恥ずかしがらないの!」

私の背中をバシバシ叩きながら、冴子さんは笑う。


「薫おじさんは?」
さっきから姿が見えないので、心配になる。


「あー、薫ちゃん?もう来ると思うよ?あっ、ほら、来た!」