『……で?』

電話越しに薫おじさんが聞き返す。


「だから、薫おじさんしか頼めなくて……」


『なんでオレに洋服を借りようと思ったわけ?なんで、おっさんの、オレに!?』

心の底から不思議そうな声で尋ねられた。


「だって、薫おじさん、オシャレだし。いつもキレイなお洋服着てるし」


『深雪ちゃん、別にいいんだけどさー、嬉しいよ?そう言ってもらえて。でもさー』

「?」


『誰とどこに行くのか、全然教えてくれないけど。オシャレして出かけたいんでしょう?』


武岡さんとデートする!とは、言えなかった私は、「オシャレして出かけたい」とだけ伝えていた。


でも薫おじさんは話の流れで、私が異性と会うことは察しているんだろうとは思う。


『だったら!オレじゃなくて!友達に借りなさい。オシャレな友達に!』