膝に置いている手に、小さな涙がぽつっと落ちた。
「ごめんなさい」
私は慌てて両手で涙を拭く。
「いいよ」
武岡さんは静かに言った。
「泣いたらいいよ」
そう言って、私の頭を撫でてくれた。
その手が優しくて。
私は泣きたかったんだ、と気づかされた。
「……本当にすみませんでした」
しばらく泣いてしまった。
完全に甘えてしまった。
泣き終わり冷静になると、ものすごく恥ずかしい気持ちでいっぱいだ。
「いやいや、大丈夫ですよ。落ち着きましたか?」
武岡さんはニッコリ笑ってくれる。
「あっ、はい。それはもう……」
と言っている途中で。
きゅるるる……。
私のお腹が鳴った。
「ごはん、食べてないから」
言い訳も思いつかず、正直に言ってみる。
完全に赤面顔になりながら。
「あはっ!あはははっ!」
武岡さんが笑った。



