苺にはもうなれない


「星、見えるけどなぁ」

ぽつりと呟く。




寂しい。

すごく寂しい。





「……会いたいなぁ」


武岡さんに、会いたい。


あの笑顔に、会いたい。




話を聞いてくれなくてもいい。

だけど。


ほんの少しでいいから、そばにいてほしい。




今、武岡さんは何をしているんだろう?


私は想像してみる。


お仕事から帰って、ごはんを食べている頃かな?

ゆっくり読書でもして、くつろいでいる頃かな?



『小森さんの今日が、良い1日になりますように』


武岡さんに貰った言葉。

まるで魔法の言葉みたい。

思い出すだけで元気が出てくる。





星空を見上げて、はぁっと息を吐く。

白い息がふわりと舞って、消えた。




「小森さん?」

名前を呼ばれた気がして。

声がした方向に顔を向けた。