お母さんも感じていたんだと思う。
だから女性が帰ってから問い詰めた。
『彼女と何かあるの?』
お父さんは知らん顔していたけれど。
私達には分かった。
あぁ、裏切られてるんだって。
それからしばらくして、お父さんは家を出て行った。
女性のもとへ行ってしまった。
後から知ったことだけど。
お父さんと女性の間には子どもがいた。
私と5つしか変わらない女の子、聖子ちゃん。
お父さんにずっと裏切られていたんだ。
お母さんは体調を崩すようになって。
あの日。
道で倒れてしまったお母さんは、やって来た車に轢かれて亡くなってしまった。
私はそれから、母方の祖母の家にお世話になったけれど。
私が20歳になる頃。
おばあちゃんも病気で亡くなってしまった。
お父さんが学費は出してくれていたので、大学は卒業することが出来たけれど。
私はお父さんに対して、恨みに近い感情を抱いている。



