振り向くと近くの高校の制服を着た女の子数人が、わいわい話しながら歩いてくる。
「本当、何それだよねー。『苺みたいな人』って、意味不明じゃない?」
「昨日の番組でしょ?私、観てなかったわー」
「優大の言う『苺』って、どんな意味があるの?」
「わっかんないよー、優大の発言なぞだわー」
あはははっと笑って去って行く後ろ姿を見ながら、
「いいなぁ、若いなぁ」
と言ってしまった。
完全におばさん発言だ。
自分でびっくりする。
それにしても、なんの話だろう?
「苺」?
優大って?
「誰だろう?」
番組とか言っていたから、芸能人の誰かなのかなぁ?
「ま、私には分かんないし、関係もないか!」
私はまた、窓拭きに専念した。
今日はあんまり忙しくならずに仕事が終わった。
私は「黒猫」から歩いて10分程度の距離にある、ひとり暮らしをしているマンションに帰る。