「深雪ちゃんねー、すっごく丁寧な接客してくれるんだけど、さっきも店長が言ってたみたいにぬけてるからさー」

田谷さんはホットコーヒーの残りを飲みきった。

「最初の頃なんか、何にもない所で転んでたんだよ?ガシャーンってすごい音して、あの時はビックリしたよねー。今思うと、緊張してたんだろうけどさー」


「そうなんですよ、注文だって間違えて伝えてきてたし。レジ打ちさせても、打ち間違えなんてしょっちゅうだし」
薫おじさんまで参戦している。


「そうなんですか」
「キャップさん」がニコニコしながら聞いている。



やーめーてー。



「でもさー、深雪ちゃんって不思議でねー。なんていうの?応援したくなるよね」

田谷さんの言葉に薫おじさんが、
「迷子のおばあさんと一緒に迷子になることが、何回かある子だから、この子」
と言って笑ってから、
「……だから、見守りたい気になるのかもしれませんねー」
と、微笑んだ。


「それ、褒めてくれてます?ディスってます?」
と聞くと、薫おじさんと田谷さんは、
「まぁ、両方だよね」
と笑った。