心の中だけの呼び名だったのに!!
堂々と本人の前で呼んでしまった!!
みるみる内に赤面顔になる私。
「申し訳ございません……」
とにかく謝った。
「キャップ、大体いつも被ってますから」
と、「キャップさん」は笑って言った。
「わぁー、ごめんなさい!!」
私は重ねて謝る。
「すみませんね、……本当に深雪ちゃんは!!丁寧に見えて、ぬけてるんだから」
薫おじさんも謝ってくれる。
「うぅ、すみません」
田谷さんがお腹を抱えて笑いはじめた。
それを見て、「キャップさん」もあはははっと笑ってくれた。
少しホッとする。
「キャップさん」の笑い声を初めて聞いた気がする。
良い笑い声だなって思った。
それから。
田谷さんは「キャップさん」に私の失敗談を話し始めた。



