「……どこかで会った気がするんだよなぁー?ごめんね、変なこと言って」
田谷さんは片手をあげて謝る仕草を見せた。
「いえ」
短く「キャップさん」が返事した。
なんだか気まずい空気。
その時。
「芸能人の誰かに似てるのかも!」
と、田谷さんがまた、ひらめいたように言った。
「キャップさん」は、
「さぁ?」
と笑ってはいるものの、明らかに困っている。
「そうだよ、きっと!お兄さん、キレイな顔立ちしてるし。何だか印象的なんだよなぁ」
田谷さんがひとり、納得している。
「キャップさん」は少し俯いてしまう。
あぁー、絶対に困っている。
何故かなのか理由は分からないけれど、「キャップさん」が困っていることは分かる。
「……あの!」
私は少し声を張ってしまった。
「どうしたの、深雪ちゃん」
薫おじさんが目を丸くしている。



