優しい手の温もりを感じながら。
私はぐちゃぐちゃになった心の中にある、ほんの少しの冷静さで悟った。
東京で会うことだって出来たはず。
それでも地元で会おうって言ったのも。
新しいネックレスを見せてくれないことも。
こんな話をしてても、部屋のドアを開けておくことも。
「苺」のためなんでしょう?
知ってる。
優大はそういう人だって。
誰よりも知ってる。
でも、もう。
私は優大の1番近くにいる女の子じゃない。
「真希」
優大が私の頭をポンポンした。
思わず両手を顔から離してしまう。
私の目を見た優大は、
「オレにとって、真希は1番の友達やで」
と言った。
「……アホ」
それは残酷やろ。
でも。
優大にとっての1番を貰えたことに、私の心はほんのり温かくなる。
それと同時に、こう思った。
1番の友達だけど、特別にはなれないんだな。