苺にはもうなれない

「あ、大丈夫やと思います」
うっ、また少し罪悪感。

……ごめん、お母さん。



「ほんまに?良かったわー。ごはんまでもう少しかかるし、優大と待っててー」 

優大のお母さんはそう言って、キッチンに帰って行った。


「おじさんは?」
優大に尋ねる。

「父さん?今、なんかお酒買いに行ってるわ。真希も来るって言ったら、お酒買ってこようって」

「おぉ、楽しみやね」
ニンマリ笑う私に、
「ほどほどにしぃや」
と、優大が優しく笑った。



あぁ、この顔。

大好きだなぁ。



「シー・ファンキーズ」の活動の中ではあんまり見られない、貴重な優大。


私だけの特権。





「……蒼ちゃんに、挨拶してもいい?」

お仏壇がある部屋を指差した。

「うん。ありがとう」

優大がリビングを出て行くので、私もついて行った。






「……蒼ちゃん、久しぶりに来たよ」
手を合わせて、話しかける。


優大の家の和室。

お仏壇にはお菓子がお供えしてあった。


「蒼大も久しぶりに真希に会えて、喜んでると思う。ありがとうな」


「ううん。私も蒼ちゃんに挨拶したかったし」



しばらく黙って、ふたりで蒼ちゃんの遺影写真を眺めていた。



中学1年生の蒼ちゃん。


優大とそっくりな笑顔で、ここにいる。







「あ、そうや」
私は、優大に視線をうつす。