夕方。


リビングでぼんやりテレビを観ていたら。

ずっと手に持っていたスマートフォンに振動を感じた。



優大からだ!


『帰って来た。真希、今晩ウチに来れる?母さんがご飯を一緒に食べようって言ってるけど』


メッセージを読んですぐ、
「私、出かけるわ!」
とお母さんに声をかけた。



「えっ、あんた、晩ごはんは!?」



「優大の家で食べる!」


「あ、そうなん?……まあ、いいけど。迷惑にならんようにね!」


残念そうなお母さんの声に、少し胸が痛んだけれど。


何せ人生がかかっているんだ。



私は鏡の前で念入りに自分をチェックしたあと、
「行ってきまーす!」
と、家を出た。





優大の家は、すぐ近所にある。


2軒先の角を曲がって少し歩いたところの、白い屋根の家。



ドキドキしながら優大の家を目指す。


角を曲がったところに、見覚えのあるシルエットが見えた。