リビングのほうへ顔を出す。
「にゃーん」
小さな声で私の足元に寄って来たのは、ブチ猫だった。
「ど、どうしたん!?その猫!?」
「新しく家族に迎えましたー。タマちゃんです」
「タマ!?」
「そう。可愛いやろう?まだ小さいんやけど人懐っこい子でなー、もうメロメロやわ」
……そうなんか。
全然知らんかったわ。
そう言いかけて、やめた。
最近は特に、実家に連絡を入れてなかったから。
帰省して早々、チクチク嫌味を言われるのは避けたい。
「真希、月曜日には帰るの?」
タマを抱っこして母が尋ねてきた。
「あー、うん。月曜は有給取ったんやけど、火曜は出勤せなあかんから、月曜の午後には帰るわ」
「忙しいなぁ〜。なー、タマー?」
タマに話しかけるお母さんの姿を見て、少し切ない気持ちになった。
もう少し、連絡はマメに入れよう。
そう思った。