私は、こういうオンナから優大を守らなければいけないな、と強く思った。




「でも、肝心の『苺』の意味が分からなくてー。目指そうにも目指せないじゃないですかー!」


その時。
後ろのテーブルで食べていた同僚の羽山弘正(はやまひろまさ)さんが、むせた。


「げっほ!」


明菜ちゃんはすかさず、
「やだー!羽山さん聞いてたんですかー!?女子の話ですよー!」
と言った。



「いやー、ごめんなさい。すごく盛り上がっていたから、聞こえちゃって」


羽山さんはニッコリ笑った。




穏やかな人だ。


明菜ちゃんもこういう、包容力のある穏やかな人を探せばいいのに。

羽山さん、仕事も出来るし。
笑うと可愛いし。

良い人なんだし。

まだ独身だし。


……あ、でも恋人がいるかもね。






そんなお節介なことを考えていたら、
「ねぇー、真希さーん。羽山さん、良い人ですよねー、恋人とかいるのかな?」
と、明菜ちゃんが小声で聞いてきた。



……おぬし、恐ろしい奴だな!




私はちょっと引いて、
「『苺』はもういいんだ?」
と、とりあえず笑顔で返した。