「『苺みたいな人』って、どういうことか分かります?」

社員食堂。

同僚の女性達と同じテーブルに座ってランチを食べていた時。


後輩の明菜(あきな)ちゃんが聞いてきた。



「『苺みたいな人』?何それ?」

先輩の笹木(ささき)さんが首を傾げる。



「笹木さん、知らないんですかー?『シー・ファンキーズ』の優大の言葉ですよー!」


私は黙ったまま、ランチプレートの中の、豚肉の生姜焼きを味わっていた。



「優大ね、その人は知ってる!うちの子どもが好きだった気がする!」

笹木さんはそう言って、誤魔化すように水を飲んだ。


明菜ちゃんはうっとりとして、
「カッコいいですよねー、憧れちゃいます!最近、かなり推しててー!聴きました?新曲!最高ですよねー!」
と、私に言ってきた。


「うん、そうだね」
なるべくクールに答えた。


「あれ、真希先輩って興味無い感じですか?あんなにカッコいい人、興味無い感じですか?」