優大の仕事先には。

可愛いアイドルや、人気の女優達がいるんだ。


そんな人達の可愛さ、美しさに比べたら、私なんて足元にも及ばないとは思うけど。


きちんとケアして自分を磨くことに、きっと意味はある。


そう信じている。






そういえば。

優大の初恋の相手のことを思い出した。


小学生の頃。

優大は教室のすみっこで本を読んでいる、ある女の子に恋をしていた。


いつもすみっこにいたことしか覚えていないくらい、印象の薄い子だった。


……学級委員を任されて、友達がいっぱいの私じゃなくて。


優大はなぜかあの子が好きだった。



確かあの子は、小学校を卒業した頃に引っ越してしまったはず。

親の仕事の都合とかで、海外に行ったとか。



気持ちを伝えたんだろうか?

いや、優大だもん。
伝えてないよね?


意外とシャイな奴だから。



「あの子のことが好きなん?」って冷やかしてみても、決して「うん」とは言わない。


だけど、私には分かっていた。


優大の恋する顔を見て、あの子に嫉妬していたから。