「騒がしいよ」
と注意しつつ、私は愛おしい妹を強く抱きしめた。
約束なんか。
ずっとそう思っていた。
だけど。
約束して、良かった。
「ねぇ、清香ちゃん」
学習机の上にある、清香ちゃんとふたりで撮った写真。
私は、小さな声で話しかける。
「優大が、熱愛だって。あの頃の私達が聞いたら卒倒しちゃうね」
写真の中の清香ちゃんはニッコリ笑っている。
ふと、思った。
優大が言った、「苺みたいな人」の意味。
「ねぇ、清香ちゃん。「苺」ってさ、どういう意味なんだろうね?」
……私は、清香ちゃんみたいな人だと思う。
清香ちゃんみたいに、よく笑う人。
「きっと優大は清香ちゃんを忘れない。……だから、祝福してあげようね」
清香ちゃんの運命の恋は、きっと失われたりしない。
私は夜の暗い空を見上げて、スマートフォンに接続したイヤホンを耳にさした。
優大の歌う、『星の降る夜には』を聴きながら。