ううん、実際に取られたと思った。
だから追いかけなくなったの。
「シー・ファンキーズ」を。
優大を。
どんなに好きでも。
嫉妬の気持ちのほうが、大きかったのかもしれない。
恐る恐る、もう一通の手紙を手に取る。
封筒には、清香ちゃんの字で、
『司ちゃんへ』
と、書いてある。
「清香ちゃんの字だ……」
また視界が揺らぐ。
もうずっと見ていなかった、親友の文字。
ちょっとだけ丸くて。
クセのある字。
封筒を開ける。
薄い桃色の便箋が、顔を出した。
『司ちゃんへ
司ちゃん、これを読んでいるっていうことは、結婚するんだね。
おめでとう。
絶対に幸せになってね。
もしかしたらこれを読んでいる司ちゃんの隣には、私は居ないかもしれない。
だけど。
これだけは言える。
私は誰よりも司ちゃんの幸せを願ってるから。
優大を好きになってくれたこと、すっごく嬉しかったよ。
一緒にキャーキャー言えて、本当に楽しかった!