クラス棟をまっすぐ進んで、西の外階段に出る。
カンカンカン……と駆け足で下っていく黒土くんを慌てて追いかけた。
「見ろよ、女子寮」
煙の方向を見た直後、硬直する。
「っ! 女子寮が燃えてる……!!」
しかも、煙が出てるところって……!
一階の角部屋。
「わた……わたしの、部屋っ!?」
さあああ……っと血の気が引いていく。
グラウンドのほうから、消防車のサイレンが聞こえてきた。
どうしよう。火、消さなきゃ!
考えるより先に、体が動いていた。
階段を駆け下りようとする私の腕を、黒土くんが掴む。
「どこ行こうとしてんの」
「じょ、女子寮に……」
「様子見に行くって? それこそ危ないし。馬鹿じゃないの」
うう……でも、自分の部屋が燃えてるんだよ。
このまま見てるだけなんて……。
一泊分の荷物しか置いていなかったのは、不幸中の幸いかも。
呆然と眺めていると、下のほうから、誰かが上ってくる気配がした。