寄宿学校在籍時、先生という名を騙る魔術師は言った。

『他人の心を操りたいなら、それ相応の対価が必要だ』

『対価とはどのような?』

『お前の身だ』

『私の純潔が対価だとおっしゃるの?』

『ずいぶんと自分を高く見ているのだな』

『どういう意味ですの?』

『数年後にはそれがわかるだろう』

 ヒューゴもジョルジュも、メリル様もカークス様も夢のお告げに騙されて思い通りになった。
 そこに私への様々な感情があったから利用できたのだ。

 なのに、あの魔術師はペテン師だ。
 本来なら私のお腹にはカークス様の子が宿るはずだったのに、どうして。