そんな先輩と出会ったのはほんの数分前。 よくドラマであるような、落とし物を拾ったわけでもなく、ぶつかった訳でもない。言葉すら交わしていない。 ただ、廊下を歩く先輩と目が合っただけだ。 その時は何事もなく通り過ぎたけど、どういうワケか、ご丁寧に私の教室まで戻ってきたらしい。 「────何か用ですか」 「好きだって言ってる、付き合って」 ああ、面倒くさい。