身支度や簡単なお弁当作りが終わり,朝御飯用の味噌汁が出来上がった頃。

蓮はいつもより早く家に来た。

蓮を迎え入れると,蓮は開口一番に



「誕生日おめでとう」



とても大切そうにそういった。

私は良く分からない,きゅうっと胸が疼くような感覚がして,パッと背を向けた。



「あり……がと」



でもお礼は忘れない。

蓮の声を聞いて,フワフワとした気持ちになる。

朝からこんなに幸せで良いのだろうか?

私は食事を終え,蓮と登校する最中,手袋越しに繋がった手を見つめてそんなことを思った。