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アイドル、モデル、女優、パティシエ、トリマー、獣医さん、動物園の飼育員、ブリーダー、女料理人。


あとなんだっけ?


あ、漫画家と小説家。


それからなんだっけ?


お母さんに言われたとおり夢をひとつに絞ろうと思ってノートに書き出しているのだけれど、そもそもどれだけの夢を持っていたのか思い出せない。


途中で忘れてしまった夢も沢山ある。


「この中からひとつに決めるなんて無理だよ」


とりあえず書き出してみた夢を見つめて呟く。


どれもこれも輝かしく見えて、諦めるにはもったいない仕事ばかりだ。


これらの仕事につくことができたら、きっと幸せな毎日を送ることができるはずだ。


「あ~あ、いっそ全部の夢が叶えばいいのに」


口に出して言ってみて、ふっと笑う。


さすがにそんなことは無理だとわかっている。


獣医さんをしながらモデルをして、ドラマにも出て、料理を作るなんてこと。


お母さんが言うように、夢が多すぎると本当にひとつも叶えることができなくなるんだろうか?


考えてみても、ミハルには難しくてよくわからない。


すでに将来の夢を定めて頑張っている子もいるけれど、ミハルにはまだそれは難しそうだった。


「頭使ったら眠くなっちゃった」


まだ夜の10時前だったけれど、ミハルは大きくあくびをしてベッドに潜り込んだのだった。