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放課後の踊り場で前髪を整えて、一回ターンしてみる。


うん、悪くない。


顔もスタイルも、人に劣っているとは思っていないし、歌だって練習すればきっとうまくなる。


誰もいない踊り場でミハルはまたステップを踏み始めた。


口ずさんでいるのは最近人気の5人組アイドルユニットの最新曲だ。


彼女たちのファンであるミハルは誰よりも早く楽曲をダウンロードして、MVも何度も見て、振り付けも覚えた。


ただ、家でダンスや歌の練習をしていたら両親にうるさいと怒られるから、学校の踊り場を使うしかないのだ。


「あぁ、ダメだ。やっぱり放課後になるとお腹が減ってダンスなんて練習できないよ」


曲の途中まで踊ったミハルはそう言って踊るのをやめた。


さっきから腹の虫が鳴いている。


こういう時に浮かんでくるのはやっぱり甘いスイーツだった。


イチゴのショートケーキに、チョコレートケーキ、チーズケーキも美味しいよね。


次々に浮かんでくるケーキに自然と頬がほころぶ。


「やっぱり私にはパティシエの方が向いているのかなぁ?」


呟きながらカバンを持って階段を駆け下りていく。


今日のオヤツはなんだろう。


早く帰ってなにか食べたい。