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「お茶持ってきたよ」


バスに揺られながらセイコはペットボトルのお茶を2本取り出した。


移動中に飲み物くらいないと辛いと思って、前日にコンビニに行って買ってきておいたのだ。


「サンキュ。セイコってすごく気が利くよな」


走ってきたトオルはすぐにお茶を受け取ってキャップを外し、一口飲んだ。


「そんなことないよ」


謙遜して言いながらも、そうやって褒められることは嬉しかった。


「教室でも、歩いていてゴミを見つけたらすぐに拾って捨てに行くだろ? そういうの、なかなかできないって」


そう言われてセイコは驚いて目を見開いた。


確かに、セイコは床に転がっているゴミが気になって拾って捨てることがあった。


でも、それをユウキが見てくれているなんて思ってもいなかった。


「見てくれてたんだ」


「当たり前だろ? セイコのことはずっと見てたんだから」


「え? それってどういう意味?」


ビックリして聞き返す。