セイコは自分の髪の毛に手を当てた。


今はショートボブだけど、入学式の時はもう少し短かった。


入学に向けて思い切ってショートカットにして、そのまま少し伸びた状態だ。


この髪型は自分でも気に入っているし、悪くないと思う。


だけどトオコのように編み込みにできる長さじゃないのが気になった。


ユウキはトオコの頭をなでたり手を繋いだりしている。


その様子を見ていたセイコは小さく息を飲み、勢いよく教室を出た。


心臓はバクバクと跳ねていて呼吸が苦しくなる。


ひと気のない廊下の隅まで移動して、その場にずるずるとしゃがみこんだ。


2人の仲がよさそうな様子が脳裏に何度も蘇ってきて、そのたびに苦い感情が湧き上がる。


小学校時代、セイコはユウキに恋をした。


それは河川敷で偶然見かけた、少年サッカークラブを見学したときのことだった。


同じ小学校の子が何人も参加していたから、つい立ち止まって試合を見ていると、そこにユウキを見つけたのだ。


ユウキは学校ではお調子者ですぐにみんなを笑わせるようなムードメーカーだ。


それがここでは積極的にボールを追いかけて、一番大きな声を張り上げていた。


それを見ているうちにセイコは不思議な気分になっていった。


心臓がドキドキする。


ユウキから目を離すことができない。