闇夜ヨルの恐怖記録 1

「それじゃチャンスじゃん! セイコ、告白してみなよ!」


ハルナがセイコの背中をバンバン叩いて応援する。


「でも、告白なんて……」


そんなの人生で1度もしたことがない。


ユウキのことはもちろん好きだけれど、告白するほどの勇気はもっていなかった。


「セイコならきっと大丈夫だよ、だって可愛いもん」


カナからの言葉にセイコは目を見開いた。


人から可愛いと言われたことは初めてだった。


もちろん、親や親戚、近所の大人たちから言われたことはあるけれど、同年代の子から言われたことはない。


「可愛い、かな……?」


「うん。化粧してないのに唇もツヤツヤだし、実は前から羨ましいなぁと思ってたの!」


カナが嬉しそうに言う。


私のことが羨ましい?


そんな風に思われていただなんて知らなかった。


地味で目立たない、友達もいない自分のことなんて、誰も羨ましいだなんて思ったりしないと思っていた。


「……頑張ってみようかな」


カナたちからの励ましに少しだけ勇気が出て呟く。


「頑張れセイコ! 応援するよ」


ハルナの言葉に、セイコは頷いたのだった。