しかしユウキはセイコに見向きもせずに教室へと足を進めた。


セイコは慌ててそれについていく。


ユウキの真後ろまでやってきたとき、わざと「きゃ!」と悲鳴を上げてコケてみせた。


前を歩いていたユウキが驚いて足を止める。


「大丈夫?」


ふり向いて手を差し伸べてくるユウキ。


優しいユウキなら、絶対にほっておかないと思っていたんだ。


「ありがとう」


か弱く言って、ユウキの手に自分の手をのばす。


当然、接着剤を塗っている方の手だ。


ユウキの手と自分の手が重なった瞬間、接着剤がすーっと体内に入り込んでくる。


その感覚にニヤリと口角を上げて微笑むセイコ。


ユウキはそれに気が付かないまま、セイコを助け起こした。


「これでもう大丈夫だろ?」


「うん。本当にありがとう」


セイコの言葉にユウキは軽く頷いて、A組へと戻っていったのだった。