それから数日後、セイコは意を決して接着剤を学校に持ってきていた。


「どうしたのセイコ、なんか今日様子が変じゃない?」


いよいよ今日結構すると決めたら緊張してしまい、それが顔にも出ていたようだ。


心配してくれるハルナへ向けてぎこちなく微笑む。


「大丈夫だよ」


「本当に? それならいいけど」


カナも心配そうな顔を向けている。


セイコはそんな2人にトイレに行ってくると告げて1人で教室を出た。


普段はみんなで一緒に行くけれど「お腹の調子が悪いから」と、嘘を付いた。


トイレの個室に入ってスカートのポケットから接着剤を取り出し、それを手に付ける。


もう慣れてきた手触りと香りにホッと胸が撫で下ろされるのがわかった。


これさえあれば私はいつでも前を向いていることができる。


悪口ノートなんかじゃ叶わない願いだって叶えることができる。


「よし、大丈夫」


手に塗った接着剤はセイコに勇気をもたらしてくれる。


トイレから出ると同じタイミングで隣の男子トイレからユウキが出てきたところだった。


ユウキの顔を見た瞬間心臓がドクンッと大きく跳ねる。