カナとセイコの心がくっつくのにそれほど時間はかからなかった。


カナがトイレから戻ってくると、そのままセイコの席へと向かってきたのだ。


「ねぇ、私も会話に混ぜてよ」


ハルナと一緒に昨日のテレビについて会話していると、そう声をかけてきた。


「もちろん」


セイコは頷いてカナを会話に加えた。


3人でおしゃべりをしている間にトオコが教室に入って来たけれど、誰もトオコに近づいては行かなかった。


カナの様子を見て愕然としているが、トオコがこちらに近づいてくることもなかった。


「カナってトオコと仲良かったじゃん。いいの?」


トオコが1人で座っているのを指差してセイコは聞く。


「いいのいいの。だってトオコは自慢ばかりなんだもん」


カナはそう言って笑い声を上げる。


こっちがカナの本心かもしれないと思うくらい、自然な返事だった。


セイコは1人ぼっちで座っているトオコを見て少し前の自分のようだと思った。


休憩時間に近寄ってきてくれる友人は1人もいない。


そう思うと少しだけ胸が痛んだけれど、トオコは今まで人気者だったんだから、少しは孤独を味わえばいいと思い直した。


そしてそんな感情も友人たちと会話している内に忘れていってしまったのだった。