闇夜ヨルの恐怖記録 1

☆☆☆

「ハルナ、トイレ行かない?」


休憩時間に入ってすぐトオコのそんな声が聞こえてきた。


トオコとカナはすでに出口へと向かっている。


声をかけられたハルナは一瞬迷った様子を見せたが「私はいいや。行っておいでよ」と告げるとそのままセイコの席へとやってきた。


「いいの?」


まだ教室の入口付近に立っているトオコたちへ視線を向けて聞く。


「いいのいいの。どうせトイレでメーク直すだけなんだし。それより、本について教えてよ」


ハルナの目はキラキラと輝き、本当にセイコに興味を持っているように見えた。


セイコは少しだけトオコに勝てたような気分になり、背筋を伸ばしたのだった。