「お願い! 私、もう夢なんて見たくないの! 現実に戻して!」


「あらあら仕方ないわねぇ。そんなに泣かないの。ほら、現実のあなたはあそこよ」


老婆が指差した先に、ベッドに横になっている自分の姿が見えた。


「あれは、私!?」


「キャンディーのせいでずっと眠っていたのよ。でもそろそろ効果も切れる頃でしょう。お戻りなさい」


老婆がミハルの背中をとんっと叩く。


その瞬間ミハルの体は急速になにかに引き寄せられ、そしてぽんっと体の中に戻っていく感覚がした。


ピッピッと定期的な機械音が聞こえてくる。


それに、友達が私を呼ぶ声も。


意識が戻るにつれて体の重たさを感じつつ、ミハルは目を開いた。


窓から差し込む太陽光が眩しくて目を細める。


「ミハル!?」


隣からチアキの声が聞こえてきた。


マイコや、他のクラスメートたちも沢山いる。


「よかったミハル。もう目を覚まさないかと思った!」


マイコとチアキはボロボロと涙を流してミハルの手を握りしめる。


あぁ……。


私、現実世界に戻ってきたんだ。