闇夜ヨルの恐怖記録 1

☆☆☆

こんなの違う!


私が見たい夢はこんなのじゃない!


ミハルは夢から逃げ出した。


現実から逃げて、夢からも逃げて、真っ暗な暗闇を走りつづける。


お願い、私を現実の世界に戻して!


もう二度と夢なんてみたいと思わないから!


だから誰か……!


その時、暗闇の中にぼうっと光るものが見えた。


ミハルはその光へ向けて走り続ける。


近づいていくと光の中に立っている老婆の姿があった。


ミハルに道を聞いてきて、お礼にキャンディーをくれた老婆だった。


「あなたは……!」


ミハルは老婆の前で立ち止まり、肩で深呼吸をした。


必死に走って逃げてきたから汗が玉のようになって流れていく。


「キャンディーは1日1個だけって言ったでしょう?」


相変わらずしわがれた声で老婆は言う。


ミハルは老婆にすがりついた。


キャンディーをくれたこの人なら、元の世界に戻してくれるかもしれない。